愛犬が年をとるにつれて、溜まった歯石や口臭が気になってきたという飼い主さんも多いのではないでしょうか。
老化に伴いよだれの分泌量が減ることで、老犬は若い頃よりも歯石が付着しやすくなってきます。歯周病を進行させないためにも、より一層のケアをしてあげる必要がありそうです。
そこでこの記事では、歯石・歯周病の症状や治療法、歯石の予防法を紹介します。
歯石・歯周病の症状
まずは、歯石の付着や、それが悪化して歯周病になったときの症状について見ていきましょう。
■歯肉炎
歯肉炎は歯石・歯周病の代表的な症状です。炎症を起こしている歯肉は赤く腫れあがるので、飼い主さんが自宅でチェックしやすい症状といえるでしょう。ぜひ、愛犬のくちびるをめくってチェックしてみてください。歯肉炎が悪化すると、痛みから食欲が低下したり、食べこぼしが多くなったりします。
また、よだれの量が増えることもあります。これらの症状が見られる場合は、愛犬の生活の質は大きく悪化してしまうので、なるべく早めに動物病院に連れて行ってあげましょう。
■鼻炎
犬は口腔と鼻腔を隔てる骨が非常に薄い動物です。歯周病が進行した場合、歯だけでなく、それを支える根元の骨までボロボロに溶け始めます。
このとき、口腔と鼻腔をへだてる骨まで溶けてしまい、口の中と鼻の中をつなぐトンネルができてしまうことがあります。そうすると、よだれや食べ物のカスが鼻の中にはいりこんでしまい、鼻炎を引き起こしてしまうのです。
鼻水やくしゃみが増えてきていたり、鼻血が出ていたりする場合には、歯周病から鼻炎になった可能性があります。
歯石の治療法
歯石の治療は、犬も人間と同様に超音波スケーラー(歯医者さんが使用する、キュイーンと音が鳴る機械)を用いたスケーリング処置を行います。このとき、全身麻酔下で行うのが大原則。犬は元来、口を長時間あけたままにしておくことを嫌う動物です。さらには多少の痛みも伴いますので、無麻酔で行える処置には限界があるからです。
無理に無麻酔で処置を行えば、口腔内を傷つけたり、歯を折ってしまったりというトラブルが起こる可能性があります。また、既に歯周病が進行しており、歯石の除去のみでは不十分な場合には、抜歯を行うことになります。麻酔なしで歯を抜くのは激痛を与えることになりますし、そもそも不可能です。
まずは、動物病院に相談してみましょう。このとき注意したいポイントは、一度、歯石を除去したとしても、歯磨きなどの習慣がなければ、またすぐに新たな歯石が付着するという点です。犬に何度も全身麻酔をかけさせないためにも、歯石予防の習慣をつけるのが、治療より優先である場合が多くなっています。
歯石の予防法
歯石の予防法はいくつかありますが、一般的なのは歯ブラシと歯磨きガムです。それぞれのメリット・デメリットを解説します。最近では、飲み水に混ぜたりスプレーしたりする歯石ケア用品もでてきましたが、それらは補助的に使ってあげるのとよいでしょう。
■歯ブラシなどによる歯磨き
■メリット:歯石の予防効果が最も高い
■デメリット:歯磨きに慣れさせる手間がかかる
歯石の予防効果が最も高いのは、歯石のもととなる歯垢を物理的に除去できる歯磨きです。人間の歯ブラシのような製品の他にも、シート状だったり指に装着して使うタイプだったりと、さまざまな製品が販売されています。ぜひトライしてみましょう。
ただし、最初からおとなしく歯磨きをさせてくれる犬はごく少数です。徐々にステップアップするよう、慣れさせていくことが大切。まずは口周辺を触ることに、次は指で歯に触ることに慣れさせましょう。
それができたら、歯ブラシを一瞬だけ歯に当てます。そして徐々に当てる時間をのばしていき、そこまでできてから本格的な歯磨きに挑戦しましょう。
それぞれのステップ毎に、おとなしく受け入れてくれたら、おやつなどのご褒美をあげると慣れるのが早くなります。
■歯磨きガム
■メリット:歯ブラシに慣れていない犬でも使える
■デメリット:歯石の付着効果は歯ブラシに劣る
歯磨きガムもさまざまな素材、形状のものが販売されています。基本的には愛犬の好みに合わせて選んであげてよいでしょう。迷うようであれば、動物病院で販売している場合も多いので、かかりつけの獣医師に相談してみるのもおすすめ。
歯磨きガムによる歯石予防は、歯ブラシの習慣がない犬でも手軽に行うことができるのが最大のメリットです。ただし歯の根元や、歯と歯の間などの細かいところまで磨ける歯ブラシと比べて、歯石予防効果はどうしても劣ります。 歯ブラシに慣れさせるまでの間のつなぎとして使ってあげるのが最適といえるでしょう。
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